2022年9月26日 伝統と新風みそ作り・農業から収穫体験・キャンプまで

残土処分、農地再生からはじまる物語

兵庫県とは申しましても、神戸市から2番目に遠い位置にあります、県北部の日本海に面した香美町(かみちょう)。
香美町の山あい「村岡区」にあります。「村岡アグリファーム株式会社」と「むらおか夢アグリ株式会社」の取り組みについてご紹介します。
京都市内中心部から山口県下関市までを結びます「ルートナイン(国道9号)」
は、旧山陰道に沿った大動脈です。 香美町の冬、悩まされるのは「雪」
。特に、村岡区日影~黒田の「笠波峠」は、交通の難所で、融雪装置が設置されていても、毎年のように大型トレーラーなどが峠の途中で立ち往生して道を塞ぐ事故が発生し、通勤・通学など生活に大きな支障が出ます。このような事故を防ぐため、トンネル掘削によるバイパス工事が国土交通省により実施されていますが、そこで生じるのが「残土」問題。安全面などその「処分」先が全国各地で困りごととなっていますが、会社ではこれを引き受け、農地再生に利用する取組を行い、完成した農地では伝統の味噌が蘇り、新鮮野菜が育つ、さらに「遊」の要素、収穫体験できる農園・キャンプ場としての機能も付加されました。
「ひと」、遊農特集などございましたら、取材実施につきましてご検討いただきますようよろしくお願いいたします。
なお、実際に取材にお越しいただける場合には、より詳細な情報提供、行程調整、撮影アテンドなど地元調整を含めた最大限のご協力をさせていただきますので、何なりと香美町役場神戸営業所までお声かけください。

 

■「村岡アグリファーム」から「むらおか夢アグリ」へ

「村岡アグリファーム株式会社」は、公共工事で発生する残土、特に村岡区で喫緊の課題となっていました、国道9号笠波バイパス工事に伴うトンネル掘削により発生する残土を積極的に受け入れました。田畑の耕作放棄地に、持ち込まれたトンネル残土を投入・整地し、農地として蘇らせたのです。ちなみに、この会社の代表を務めているのが、後述のみそ復活に関わった「大平(おおなる)会」代表の仲村正彦さんです。
そして、仲村さんは、矢田川みその安定生産と販売、また徐々に息を吹き返していく農地での農産物の生産・販売を担う会社を令和元年9月に設立しました。100%子会社「むらおか夢アグリ株式会社」です。

 

■ 福祉職場からの転身

このような経緯で設立された「むらおか夢アグリ株式会社」
ですが、その社長の座には、地元社会福祉法人から転身した、今井裕子(ゆうこ)さんが抜擢されました。「みそ作りと事務仕事」ということで村岡アグリファームに勤務することになった今井さんに、白羽の矢が立ったのでした。
「強いリーダーシップと行動力」を買われて、女性起業家、創業者となった今井さん。
「まさか自分が」と戸惑いもあったようですが、今では、京阪神での商談会や販売会にも積極的に出展するなど、持ち前の「元気」
「明るさ」で会社を引っ張っています。

 

■ 矢田川みそについて

村岡区の道の駅などでお土産として好評の「矢田川みそ」は、香美町を代表する美味しい味噌の一つで、大きな特徴は、「手づくり」こうじ」
と「熟成」です。村岡は「但馬杜氏」で知られ、冬場は有名酒蔵の職人(杜氏・蔵人)として出稼ぎに行きました。そのため、高い製麹技術を活かした「こうじ」をふんだんに使用していること、また熟成段階では、地酒「香住鶴」の酒粕を使用して雑菌侵入を防いでいます。
平成11年に地元の女性グループが、名産品を作ろうと、この「こうじ」をはじめ、県内産大豆など、素材を吟味し手作りした味噌で その味のまろやかさから、多くの人に愛されましたが、メンバーの高齢化等により、平成28年に製造中止となりました。
この状況を聞いた、地域住民グループ「大平(おおなる)会」が元の生産メンバーの教えを請い、復活させることに成功し、さらにこの味を安定して供給できる仕組み作りが必要であるとして、農業法人設立へと至りました。

 

■ 夢アグリの新展開について

むらおか夢アグリでは、たじまピーマン、キャベツといった野菜はもとより、地域の伝統的作物である「美方大納言小豆」などを生産しています。特に、安納芋をはじめとした6品種を栽培する「さつまいも」は、そのまま販売するだけでなく、「やきいも」
「干しいも」としても販売、これらを真空パック化、缶詰化するなど、さらなる高付加価値化にもチャレンジしているほか、「いもほり体験」としても売り出し、地元だけでなく、休日には阪神間からのお客様もあり、プチ農業体験「収穫体験」できる農園としても知られるようになりました。
さらに、今秋には、6区画のキャンプサイトが完成し、テントサウナも新設するなど、日中にさつまいもやとうもろこし、枝豆など季節に応じた収穫体験、チーズ、魚などの燻製作り体験を楽しんだ後は、川の流れる音や虫の声をBGMに、更けゆく夜をお楽しみいただけます。

 

 

伝統と新風みそ作り・農業から収穫体験・キャンプまで
プレスリリース
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