2020年12月18日 神戸ビーフや松坂牛のルーツは「但馬牛」

■全国のブランド牛の素牛「但馬牛」

「但馬牛」(たじまうし)とは兵庫県産の黒毛和種の和牛のことです。
この但馬牛から獲れる牛肉のブランドには「但馬牛(たじまぎゅう)」神戸ビーフ、三田牛、淡路ビーフなどがありますが、この中の「但馬牛」(たじまぎゅう)は「神戸肉流通推進協議会」による基準を満たして生産され、同協議会が定める基準を満たした牛肉に対して許される呼称です。
平成24年2月、社団法人全国和牛登録協会の調べで但馬牛について驚くべき数字が明らかになりました。
現在国内にいる黒毛和牛の母牛の99.9%が香美町の「田尻号」の子孫であると証明されたのです。

田尻号は、香美町小代区貫田の田尻松蔵さん宅に昭和14年に産まれた雄牛で母は「ふく江」ふく江が産んだ4頭目の子牛でした。
田尻号は13年間に1500頭近い子供を自然交配で残しています。
またその子牛や孫牛は肉質改善にと宮崎、飛騨、松坂、米沢など各地の黒毛和牛の産地へ次々と引き取られ黒毛和牛の肉質向上に寄与したのです。


もともと但馬牛は日本海に面し平野が少ない兵庫県北部の山地・但馬地方において農耕用の役牛として飼育されていました。
奈良時代の正史である「続日本紀」には「但馬牛は農耕用だけでなく牛車にも最適ある」と書かれています。また約700年前に描かれた「国牛十図」という書物には但馬牛が絵入りで紹介されています。
小柄で引き締まった身体をもち狭い棚田で農作業やの荷物の運搬に小回りよく動けるために重用されてきた但馬牛。
昼と夜の寒暖差が大きく夜露が降りることの地方で育つ柔らかい牧草と、またミネラル分豊富な水のおかげで但馬牛特有の肉質が作られました。

食肉として但馬牛が食べられるようになったのは1886年の神戸港の開港がきっかけで当時日本へ来た外国人が但馬牛を食べ、その美味しさのとりこになったと言われています。
明治時代以降、都会に「牛なべ屋」ができ大正時代には「すきやき」が家庭の食卓に出るようになり、「但馬牛」が御馳走の代名詞となっていったと言われています。

 

■目指せ、世界農業遺産!
日本農業遺産に認定された「美方郡産但馬牛」

もし香美町をはじめとする美方郡で但馬牛が飼われてなかったら、
もし「美方郡産但馬牛」の育種改良が進められていなかったら”世界の舌を魅了する”神戸ビーフや特産松坂牛、WAGYU(和牛)もこの世に無かったのではないか。
農耕用役牛としての但馬牛改良の歴史は古く、中でも美方郡では水系ごとに飼育されていた牛群に他の水系の牛群を交配させることなく郡内にこだわった繁殖が繰り返され、江戸後期には「蔓牛」と呼ばれる牛群が形成されました。
地域の気候・風土に根差した「農宝」として家族同様に愛育され、資質と品位を重視した育種改良が進められてきた結果、美方郡産但馬牛は”霜降り肉”と呼ばれる優れた産肉能力と強い遺伝子を持つこととなりました。
明治30年(1897 年)に美方郡畜産会が組織され、その頃から郡内各市町において血統情報の基本となる『牛籍簿』が整備されはじめ、明治36年(1903年)には国内で初めて『牛籍台帳』として整備が完了し、飼育牛を一頭一頭正確に個体確認することが可能となりました。
この『牛籍台帳』を活用して、血統、体型、繁殖能力の優秀な個体を「基礎雌牛」として選抜してきたことが、今日の但馬牛に繋がる”系統の礎”となっています。
優れた資質、品位、肉質を合わせもつ但馬牛は特産松坂牛や近江牛の肥育素牛として、
また育種改良の種牛として全国の和牛生産地から求められることとなり、国内の黒毛和牛の 99.9%が美方郡産の名牛「田尻号」の血統を引くともいわれています。
これら今日の但馬牛を造りあげてきた美方郡における伝統的な農林水産業システムを今、改めて顕彰し後世に継承
するため、
平成31年2月に日本農業遺産に認定され現在、世界農業遺産の認定を目指しています

 

「兵庫県香美町」の観光PRをしています香美町役場神戸営業所の木原弘一郎と申します。
香美町が誇るブランド牛「但馬牛」について、ご紹介させていただきます。
2021年(令和3年)の干支は丑年(うしどし)です。
牛と言えば神戸ビーフや松坂牛など全国のブランド牛が有名ですが、これら黒毛和牛の99.9%にその血をつなげる名牛「田尻号」は香美町が産出した特別な但馬牛です。
全国の有名ブランド牛は例外なくこの香美町の田尻号(但馬牛)の血をひいており、世界に誇る和牛肉の原点は香美町の「但馬牛」にあると言っても過言ではありません。
今日の但馬牛を造りあげてきた美方郡における伝統的な農林水産業システムを今、改めて顕彰し後世に継承するため平成31年2月に日本農業遺産に認定され現在、世界農業遺産の認定を目指しています。
この冬の旅企画などございましたらご取材につきましてご検討いただきますようよろしくお願いいたします。
なお実際に取材に入っていただける場合には、より詳細な情報提供、スケジュール調整、撮影アテンドなど地元調整を含めた最大限のご協力をさせていただきますので、何なりと香美町役場神戸営業所 木原までお問い合わせください

 

プレスリリース
神戸ビーフや松坂牛のルーツは「但馬牛」